今回のテーマは“費用計上のタイミング”です。
決算期になると“早く経費精算して下さい!”等の号令がかかりますが、
なぜ早く経費精算をしないとダメなのでしょうか?
今回は費用を認識するタイミングをみていきます。
■債務が確定した段階で費用計上する
【例①】
3 月15 日に税制セミナーの広告を新聞に載せたが、
電子申請で4 月10 日にお金を振り込んだとします。
この場合の費用計上はいつになるでしょうか?
答えは3 月の経費になります。
お金が動いたのは期を越えての4 月ですが、実際は3 月に掲載されているので、
経費は3月に計上します。
【例②】
逆に、4 月10 日の会議室料を前もって支払う必要がある為に、
3 月20日に支払った場合は、経費計上は4月になります。
(お金が動いたのは 3月ですが、債務確定は4 月なので4 月の経費)。
■現金主義と発生主義
費用計上の考え方には2 つあり、まず定義からみていきます。
・現金主義 : 現金の収支にもとづいて、費用と収益を認識する考え方。
・発生主義 : 取引が発生した事実にもとづいて、費用と収益を認識する考え方。
企業会計の世界では上記の例①②のように発生主義を採用しています。
では現金主義はどういうものかと言うと、現金の支出(例では銀行振込)
という事実に基づいて費用の認識をする方法です。
例①では銀行振込日が4 月10 日なので4 月の費用認識になり、
例②では銀行振込日が3 月20日なので3 月の費用認識となります。
ちなみに日本のほとんどの公官庁は、現金主義を採用しています。
現金主義の場合、現金の移動は記録されますが、
資産や負債の情報が的確に把握されない為、
より透明性の高い会計が求められている世の中の流れから、
公官庁も発生主義を採用する動きがあります。
(東京都は平成18 年4 月度から発生主義に変更になりました)
このように企業会計は発生主義なので、決算期に支払申請や経費精算を
早く申請するよう依頼することが多々ありますが、
的確に前期の費用を認識する目的ですので、ご協力をお願いします。
Point お金が動かなくても費用は計上する
いやー、決算書って面白いですね。エンジョイ決算書!
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