#08 儲け“粗利(アラリ)”

決算書入門

今回のテーマは“粗利(アラリ)”です。

#05“5つの利益表現”で説明しましたが、最初に表現されるのは粗利(売上総利益)です。

“儲け”の損益計算書では以下の位置で表現されます。0801

 

■粗利(売上総利益)は売上高-売上原価で導き出される

粗利(売上総利益)は「売上高-売上原価」です。

売上高も売上原価も「企業がビジネスとして行っているモノ・サービス」に直接的に関係する項目です。
売上高はお客様にモノ・サービスを販売した結果であり、売上原価はモノ・サービスを購入または
自社で製造した結果です。

従って、売上高と売上原価の差し引きで求められる粗利(売上総利益)は、
会社がビジネスとして販売しているモノ・サービス自体にどれだけ競争力があるのか、
ということになります。

■各業界の粗利率(売上総高利益率)をみてみる

よく使用される財務指標として、粗利率(売上高総利益率)があります。
粗利率は次の式で求めます。

粗利率(%) =粗利(売上総利益) ÷ 売上高 × 100

この式にM社の業績をあてはめると、粗利率は21.5%です。

21.5%   =粗利(88,307百万) ÷ 売上高(409,794百万) × 100
<※平成27年3月期>

業種・業態によって異なりますが、各業界の平均値はおおよそ以下の通りとなり、
小売業は工場等を使ってモノをつくるというわけでは無いので、高い粗利率になってます。

製造業 → 21.4%
卸売業 → 15.6%
小売業 → 30.2%

また、新しいiPhoneが発売されると必ず分解して原価を調べる人が話題になりますが、
ある調査会社によるとiPhone6の原価は200~247ドル(2万5千円くらい)のようで、
利益率は約70%とのことです。(推定)

iPhone 6の原価は200〜247ドル 高い利益率維持
iPhone 6のパーツと組み立てを含む原価は200〜247ドルと、高い利益率を維持しているという試算。16Gバイトモデルと128Gバイトモデルの差は47ドルということになる。

0802

 

アップルがいかに競争力の高い企業かこの数字からうかがえます。

 Point  粗利(アラリ)は最初に導き出される1番目の利益

いやー、決算書って面白いですね。エンジョイ決算書!

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